年の差フレンドのホンネ体験談

若い友人の「やってみましょう!」で踏み出した新しい一歩

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子育てを終えて見つけた時間の過ごし方

子供たちが独立し、夫も定年を迎えて、私たち夫婦だけの生活が始まりました。それはそれで穏やかな時間ではありましたが、どこか心にぽっかりと穴が開いたような寂しさも感じておりました。今まで子供や夫のために使っていた時間が、急に自分だけの時間になったからです。

何か新しいことを始めてみたい、新しい人間関係もできたら嬉しいな、漠然とそう思ってはいましたが、何をどう始めたら良いのか分かりません。カルチャーセンターのパンフレットを眺めてみたり、地域のサークル活動を調べてみたりもしましたが、なかなか一歩を踏み出せずにいました。新しい環境に馴染めるかしら、うまく話せるかしら、そんな不安が先に立ってしまったのです。

そんな私の前に現れたのが、年の離れた友人である恵さんでした。

思いがけない場所で年の差の友人ができた話

恵さんとの出会いは、近所の小さなカフェでした。私は読書をするのが好きで、そのカフェによく一人で伺っていたのです。恵さんはそこのアルバイトさんでした。いつも笑顔で接客してくださり、おすすめのケーキを教えてくれたり、本の話題で少しだけお話したりするようになりました。

ある日、私が読んでいた本について恵さんが興味を示してくれたのがきっかけで、話が弾みました。その本は少し難解な哲学の本だったのですが、恵さんは若いのにそういった分野にも関心があるようでした。何度か話すうちに、お互いの好きなものが似ていることが分かり、カフェの営業時間外にお茶をご一緒するようになったのです。

恵さんはまだ20代後半で、私とは親子ほど年齢が離れています。最初は「こんな若い子と友達になっても、話が合うかしら」「迷惑じゃないかしら」と遠慮する気持ちがありました。でも、恵さんはいつも私を一個人として尊重してくれ、年の差を全く気にしない様子で接してくれました。その無邪気さと優しさに触れるうちに、私の心の壁は自然と溶けていきました。

「やってみましょう!」恵さんがくれた新しい世界への誘い

恵さんと友人になって、私の日常は少しずつ変わり始めました。恵さんは色々なことに興味があり、フットワークが軽い方でした。ある時、私が「最近、ニュースでよく聞く『オンライン〇〇』って、私には難しそうでよく分からないのよ」と話したところ、恵さんが「え、〇〇さん、興味あるんですか?すごく簡単ですよ!今度一緒にやってみましょうか?」と言ってくれたのです。

正直、最初は戸惑いました。パソコンやスマホは一通り使えますが、新しいアプリをダウンロードしたり、知らないサイトに登録したりするのは億劫で、失敗したらどうしようという不安がありました。それに「オンライン」の世界は、若い人たちのものだという先入観もありました。

でも、恵さんの「やってみましょう!」という明るい言葉に背中を押され、「じゃあ、ちょっとだけ」という気持ちでお願いしてみることにしたのです。

初めてのオンライン体験とそこから見えた景色

恵さんは私の家のパソコンに来てくれて、丁寧に操作方法を教えてくれました。私が「こんなことも分からないの?」と恥ずかしくなるようなことでも、恵さんは少しも嫌な顔せず、根気強く付き合ってくれました。

そして、初めて参加したオンラインイベント。それは、私が若い頃から好きだった歌手のファンミーティングでした。画面越しに見る憧れの人の姿は、会場で見るのとはまた違った感動がありました。全国各地から参加しているであろう他のファンの方々と同じ時間を共有しているという一体感も感じられ、「こんな世界があったなんて!」と目から鱗が落ちる思いでした。

その後も、恵さんはおすすめのオンライン講座を教えてくれたり、一緒にオンラインで美術館のバーチャルツアーに参加したりと、様々な「新しいこと」を教えてくれました。最初は戸惑っていたオンラインでの買い物も、今では少しずつ自分でできるようになり、遠く離れたお店の商品を手軽に手に入れられる便利さに驚いています。

年齢を気にしない友情がくれた勇気と学び

恵さんとの交流を通して、私は多くのことを学びました。一つは、新しいことに挑戦するのに年齢は関係ないということです。「もうこの歳だから」「今更遅い」と自分で限界を決めてしまうのは、本当にもったいないことなのだと気づかされました。若い世代から学ぶことはたくさんありますし、彼らの柔軟な発想や行動力は、私たちにとって大きな刺激になります。

もう一つは、年の差を気にしない友情の温かさです。恵さんは、私の経験や知識を尊重してくれる一方で、私が知らない新しい世界へ優しく導いてくれました。そこには上下関係や遠慮は一切なく、ただ「〇〇さんと一緒に何かを楽しみたい」という純粋な気持ちがあるように感じます。

もちろん、ジェネレーションギャップを感じる瞬間もあります。流行の言葉が分からなかったり、昔の常識が今は通用しなかったり。でも、そんな時でも恵さんは笑って教えてくれますし、私も昔の話を聞かせたりと、お互いの違いを楽しむことができます。

新しい一歩を踏み出す勇気

子供が独立して時間ができたものの、どう過ごしたら良いか分からない、新しい人間関係を作りたいけれど一歩踏み出せない。かつての私がそうであったように、同じような気持ちを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

私の体験談は、あくまで一つの例にすぎません。オンラインの世界に限らず、地域の活動でも、趣味の教室でも、ふとした日常の出会いから、年の差を気にしない温かい友情は生まれる可能性があります。

もしあなたが今、何か新しいことを始めてみたい、でも迷いや不安があるというのなら、どうか諦めないでください。そして、もし周りに年の離れた方と交流する機会があったなら、少しだけ心を開いて話してみてはいかがでしょうか。

「やってみましょう!」という誰かの温かい一言や、あなた自身の小さな勇気が、新しい扉を開き、人生に彩りを与えてくれるかもしれません。年齢を重ねたからこそ、人生にはまだまだたくさんの楽しみが待っているのだと、私は恵さんとの友情に教えてもらいました。