年の差フレンドのホンネ体験談

「もう遅いなんてない」 年の差友人が教えてくれた「今から」始める勇気

Tags: 年の差友情, 新しい一歩, 挑戦, 人生を楽しむ, 学び

年を重ねて感じる「今さら」の壁、そして年の差の友情

歳を重ねるにつれて、「もうこの歳だから」「今さら始めても遅い」と感じることは、決して少なくないかもしれません。体力的な衰えを感じたり、新しい環境に馴染めるか不安になったり、周囲からどう見られるかを気にしてしまったり。かつては楽しんでいたことや、いつかやってみたいと思っていたことも、いつの間にか心の片隅に追いやられ、諦めてしまう。そのような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、人生に「遅すぎる」ということは、本当に存在するのでしょうか。新しい人間関係、特に若い世代の方々との交流は、私たちの視野を広げ、時に思いもよらない形で、新しい一歩を踏み出す勇気をくれることがあります。

今回は、私が年の離れた友人との出会いを通して、「もう遅い」と思っていたことへ再び挑戦するきっかけを得た体験についてお話ししたいと思います。

思いがけない出会いと、諦めていた「習い事」

私が彼女と出会ったのは、地域で開かれている小さな写真教室でした。私は昔から写真を撮るのが好きで、定年退職を機に改めて学びたいと思い参加を決めたのですが、集まっているのは私よりもずっと若い方ばかり。その中でも特に年の離れた、30代の女性、山田さん(仮名)と親しくなりました。

山田さんは感性が豊かで、私の知らない新しい技術や表現方法を教えてくれる存在でした。一方、私は長年培ってきた写真の知識や、写真にまつわる昔話などを聞いてもらいました。年齢差を意識しない、心地よい関係が自然と育まれていったのです。

ある日、山田さんと話している中で、私が若い頃に少しだけ習っていたけれど、結婚や子育てで諦めてしまった「絵」の話になりました。実は私は、いつかもう一度きちんと絵を習いたいという気持ちをずっと抱いていたのですが、「今さら絵を習い始めても、プロになれるわけでもないし」「指先も以前より動かしにくくなったし」と、半ば諦めていたのです。その話を、ため息交じりに山田さんに打ち明けました。

若い友人の言葉が、私の心を動かした

私の話を聞いた山田さんは、少し考えた後、こう言ってくれました。「〇〇さん(私の名前)の撮る写真って、色合いがすごく優しいですよね。きっと絵を描かれたら、もっともっと素敵な表現ができるんじゃないかな。プロになるとか関係なく、描きたいって気持ちがあるなら、今から始めてみたらどうですか? 楽しいかどうか、それが一番大事だと思いますよ。」

山田さんの言葉は、私の凝り固まった心を優しく解きほぐしていくようでした。「今さら始めても…」という私の中の言い訳や、他人からの評価を気にする気持ちが、スーッと軽くなっていくのを感じました。彼女は、私の「描きたい」という純粋な気持ちだけに焦点を当ててくれたのです。その言葉に、年齢や成果を気にせず、ただ「楽しい」を追求することの大切さを改めて教えてもらった気がしました。

小さな一歩、そして広がった新しい世界

山田さんの言葉に背中を押され、私は思い切って近所のカルチャーセンターの絵画教室に申し込んでみました。最初はやはり手が思うように動かないもどかしさや、若い方たちに混ざって学ぶことへの気恥ずかしさもありました。

しかし、先生は丁寧に指導してくださり、一緒に学ぶ方々も温かく受け入れてくれました。そして何よりも、筆を持つこと、色を混ぜること、何もなかった画面に少しずつ形が現れてくること、そのすべてが、かつて感じたことのないほどの喜びと充実感を与えてくれたのです。

写真教室で山田さんに会うたびに、絵画教室での出来事を話しました。山田さんはいつも「わぁ、素敵ですね!」「〇〇さんならきっと大丈夫ですよ!」と、自分のことのように喜んで、応援してくれました。彼女の明るく前向きなエネルギーが、私の新しい挑戦を静かに、しかし力強く支えてくれたのです。

絵画教室に通い始めて数ヶ月経った今、私は絵を描くことが生活の中で欠かせない楽しみの一つになっています。技術はまだまだですが、作品が完成するたびに、新しい自分に出会えたような喜びを感じます。

年の差を超えて、「今から」を始める勇気

今回の経験を通して、私は「もう遅い」という言葉がいかに自分自身の可能性を狭めてしまうものかを知りました。そして、年齢や経験に関係なく、誰かの「やってみたい」という純粋な気持ちを肯定し、応援してくれる存在が、どれほど大きな勇気をくれるのかを実感しました。

年の差のある友人との交流は、時にジェネレーションギャップを感じることもありますが、それ以上に、お互いの知らない世界を教え合い、価値観を広げ、そして何よりも、人として純粋な気持ちで向き合える温かさがあります。

もしあなたが今、「もう年だから…」と何かを諦めていることがあるならば、ぜひ年の差の友人との交流の中に、新しい一歩を踏み出すヒントを探してみてください。若い世代の方々の持つ、変化を恐れない柔軟な考え方や、純粋に「楽しそう!」と感じる気持ちに触れることは、きっとあなたの心を軽くし、「今から」始める勇気をくれるはずです。

人生は、いつからでも新しい一歩を踏み出すことができる。年の差の友情は、その「今から」を力強く後押ししてくれる、素晴らしい贈り物だと私は感じています。