年の差フレンドのホンネ体験談

年の差友人の頑張る姿に触れて 見つけた私の第二の青春

Tags: 年の差友情, 新しい挑戦, 人生の活力, モチベーション, 第二の人生

年の差友人の頑張る姿に触れて 見つけた私の第二の青春

子供たちが巣立ち、夫も定年を迎えてから、私の毎日はずいぶんと静かになりました。時間に余裕ができたことは喜ばしいことですが、一方で「この先、何を目標に生きていこうか」と、漠然とした不安や寂しさを感じることもありました。何か新しいことを始めたい気持ちはあっても、なかなか一歩が踏み出せずにいたのです。そんな私の日常に、温かい光を灯してくれたのが、年の離れた友人、優さんでした。

優さんとの出会いは、近所の小さな図書館で開かれていた「大人のための絵本を楽しむ会」でした。私はただ時間を持て余して参加しただけでしたが、優さんは、将来絵本の読み聞かせのボランティアをしたいという、はっきりとした目標を持って参加されていました。当時、優さんはまだ20代後半。私とは親子ほども歳が離れています。最初は、若い方とのお付き合いは難しいのではないか、話も合わないだろう、と勝手に壁を作っていました。

しかし、優さんは分け隔てなく、穏やかに話しかけてくださいました。絵本について真剣に語るその瞳はキラキラと輝いており、私はすっかり引き込まれてしまいました。彼女の言葉を聞いているうちに、遠い昔、私が若い頃に抱いていた夢や、何かに熱中していた頃の気持ちを思い出していたのです。

「読み聞かせのボランティアをするためには、もっと色々な絵本を知りたいんです。子どもたちの反応を見ながら、どんな絵本が心に響くのか研究したいなと思っています。」

優さんが楽しそうに話すのを聞いて、私は「すごいね、頑張ってね」と応援する一方で、「私にはもう、そんな風に夢中になれることなんてないのかもしれない」と、少し寂しい気持ちにもなりました。

ところが、優さんと交流を重ねるうちに、私の心に変化が訪れました。彼女は、読み聞かせの練習を自宅で行っていること、地域のイベントで小さな発表の場を探していることなどを、いつも楽しそうに話してくれました。上手くいかないことがあっても、「次はこうしてみます!」と前向きなのです。そのひたむきな姿を見ていると、私の内に「私も何か始めてみたい」という思いが芽生え始めました。

ある時、優さんが「読み聞かせには声の出し方も大切なんですよ」と話しているのを聞いて、ふと昔、声楽を習っていた時期があったことを思い出しました。結婚や出産を経て、いつの間にか辞めてしまったことでした。

「そういえば、私も昔、歌が好きで少し習っていたことがあったわ」と話すと、優さんは目を丸くして、「え!素敵ですね!またやってみたらどうですか?」と、まるで自分のことのように喜んでくれたのです。その屈託のない笑顔と、純粋な「応援」の気持ちが、私の背中をそっと押してくれました。

それから、私は近所の音楽教室の体験レッスンに申し込んでみました。何十年ぶりかに声を出してみると、最初は思うように声が出ず、戸惑いました。しかし、体を動かし、腹から声を出す感覚は、忘れていた心地よさがありました。新しい楽譜をもらう時の少しの緊張感、先生に褒められた時の喜び。それは、まさに優さんが絵本の世界で感じている「わくわく」と同じものなのではないかと感じました。

今では、週に一度、音楽教室に通っています。もちろん、プロを目指すわけではありません。ただ、あの頃のように歌うことを楽しみたい、それが一番の目的です。優さんには、レッスンの様子や感じたことを話しています。「すごい!」「楽しそう!」と、いつも全力で聞いてくれる彼女のおかげで、私ももっと頑張ろうという気持ちになれます。

年齢差があると、共通の話題を見つけるのが難しいと思うかもしれません。確かに、流行りの音楽や若い人たちの常識についていけないと感じることもあります。ですが、お互いの「頑張っていること」「楽しんでいること」を伝え合う時、年齢は全く関係ありません。優さんの絵本にかける情熱も、私の歌への再挑戦も、根っこにある「好き」という気持ちは同じなのだと感じています。

年の差のある優さんとの友情は、私にとって人生の新しいページを開くきっかけとなりました。彼女の頑張る姿に触れて、私は「もう歳だから」と諦めていた「何かを始める楽しさ」や「目標に向かうわくわく」を思い出すことができたのです。それは、まるで人生の「第二の青春」を見つけたような感覚です。

もしあなたも、私のように時間を持て余していたり、何か新しいことを始めたいけれど踏み出せないと感じていたりするなら、年齢を気にせず、少しだけ周りを見渡してみてください。思いがけない場所で、年の離れた誰かとの出会いが待っているかもしれません。そして、その人のひたむきな姿が、あなたの心に新しい火を灯してくれることがあるかもしれません。年齢はただの数字です。心を開けば、きっと素敵な友情が育まれ、人生に彩りを与えてくれるはずです。