『なんか気を使われてる?』年の差友人にどう接していいか悩んだ私の体験談
年の差の友情に感じる、ささやかな不安
新しい人間関係を築くことは、いくつになっても心躍るものです。特に、年齢が離れた方との交流は、新鮮な発見や学びが多く、日々に彩りを与えてくれます。
私自身も、数年前に地域のボランティア活動を通じて知り合った、30歳近く年下の友人がいます。彼女はテキパキとして明るく、私にはない現代的な感覚を持っていて、話していると時間が経つのを忘れるほど楽しいのです。
しかし、そんな楽しい時間の中でも、時折胸に引っかかる小さな不安がありました。それは、「私、彼女に気を使わせているのではないかしら?」という思いです。
あの時の彼女の言葉に、少し立ち止まった
彼女と二人でお茶をしていた時のことです。私は若い頃の仕事の話や、子育ての苦労話などを聞いてもらっていました。彼女はいつも熱心に耳を傾け、「へぇ」「そうなんですね」と相槌を打ってくれます。それはとても心地よい時間でした。
でもある時、私が少し昔の流行り言葉を使って話したとき、彼女は一瞬「?」という顔をして、「あ、それは今の若い人はあまり言わないかもしれませんね」と、少し遠慮がちに言いました。悪気がないのは分かっています。ですが、その言葉を聞いた瞬間、「ああ、私、古いのかな」「無理に合わせて話してくれているのかな」という思いが頭をよぎったのです。
また別の時には、食事中に私が「このお店、量が少し多いわね」と言った後、彼女が急に「あ、もしよかったら残しても大丈夫ですよ!無理して食べなくても!」と慌てたように言いました。私は単に感想を言っただけだったのですが、彼女は私が食べきれないのではないか、という心配から、気を遣ってくれたのかもしれません。
そういった小さな出来事が重なるにつれて、私は彼女との会話や態度を深読みするようになりました。「今、私が話していること、面白くないんじゃないか?」「私がいることで、彼女は若者らしい振る舞いができていないのでは?」「気を遣わせてばかりで、疲れていないかしら…」
どう接すれば、お互いがもっと自然でいられるのだろうか?そんな悩みが、少しずつ心の中で大きくなっていったのです。せっかく芽生えた年の差を超えた友情を、私の余計な気遣いや不安で壊してしまいたくない。そう思っていました。
伝えてみたら見えた、お互いの「気遣い」
悩んだ末、私は思い切って、その「気遣われているのでは?」と感じる私の正直な気持ちを、遠回しではありますが彼女に伝えてみることにしました。
「ねえ、いつも私みたいな年寄りの話に付き合ってくれて、なんだか悪いわね。気を遣わせていないかしら?」
すると彼女は、少し驚いた顔をした後、はっきりと言いました。「えっ、全然そんなことないですよ!むしろ、〇〇さん(私のこと)のお話、すごく面白いんです。私には経験できないことばかりで、勉強になりますし、勇気をもらうこともたくさんあります。」
そして、こう続けたのです。「それに…私の方こそ、〇〇さんが私の若い頃の話や、今の時代のことをどう思われるか、少し気にして話している部分はあります。変に思われないかな、伝わるかなって。お互い様かもしれませんね。」
その言葉を聞いて、私の胸のつかえがスーッと消えていくのを感じました。そうか、気を使っているのは私だけではなかったのだ。そして、彼女が私に合わせてくれていると感じた態度は、私への配慮や尊敬の気持ちからくるものだったのかもしれない。私が「古いかな」と思った言葉も、単に「世代が違うこと」を伝えてくれただけで、否定的な意味は全くなかったのだと気づきました。
年の差の壁ではなく、違いを尊重する心
この体験を通じて、私は大切なことを学びました。年の差がある関係性において、お互いが相手を思いやり、気を遣うことは、ある意味自然なことです。特に年下の相手に対しては、「自分の方がしっかりしなくては」「負担をかけてはいけない」といった思いから、ついつい余計な心配をしてしまいがちです。
しかし、その「気遣い」を「壁」と感じてしまうか、「相手への尊重」と受け止められるか、それは自分の心の持ち方にかかっているのだと気づきました。そして、もし何か不安を感じたら、深読みするのではなく、穏やかに、正直に自分の気持ちを伝えてみること。そうすることで、相手の本当の気持ちを知り、より深く分かり合える道が開けるのだということを実感しました。
年の差の友情は、確かに共通の話題や経験の幅が異なる場合があります。ですが、その違いこそが、お互いに新しい視点や気づきを与えてくれる宝物なのだと思います。
若い世代との関わりに少し戸惑いを感じている方もいらっしゃるかもしれません。「どう思われるかな」「うまく話せるかな」といった不安は、きっと誰にでもあるものです。ですが、年齢を気にしすぎず、目の前の相手を一人の大切な友人として尊重し、心を開いて関わってみてください。お互いの「違い」を面白がり、認め合うことから、きっと温かい友情が育まれていくはずです。
あの時、小さな不安を乗り越えて彼女と正直に話せたことで、私たちの年の差の友情は、より一層確かなものになったと感じています。年齢を気にしない、心と心でつながる友情は、何より代えがたい人生の宝です。