年齢を忘れて語り合った不安 年の差友人と見つけた『大丈夫』の理由
漠然とした不安と年の差の友人
子供たちが独立し、夫も定年を迎えて、私の日常にはぽっかりと時間が生まれました。それまで忙しくしていたのが嘘のように、ふとした瞬間に先のことを考えては、漠然とした不安に襲われることが増えたのです。自分の健康のこと、これから訪れるであろう様々な変化のこと、そして何よりも、社会との繋がりが薄れていくことへの寂しさや焦り。
そんな私に、年の離れた友人ができるなど、想像もしていませんでした。彼女は、私がボランティア活動に参加した際に知り合った、私よりずっと若い女性です。最初はお互いに年の差を意識し、会話も当たり障りのないものが多かったように思います。しかし、何度か活動を共にするうちに、飾らない人柄に惹かれ、少しずつ距離が縮まっていきました。
年齢差を超えて打ち明け合った心の声
ある日の活動の後、二人でお茶をすることになりました。その日はたまたま、お互いに少し疲れていて、普段よりも本音が出やすい雰囲気だったのかもしれません。
私が「最近、なんとなく落ち着かなくて。これからのことを考えると、なんだか不安になるのよ」と、つい心の内のモヤモヤをこぼしたのです。漠然とした不安で、具体的にどう説明すればいいのかも分からなかったのですが、彼女は何も言わずにじっと耳を傾けてくれました。
私の話を聞き終えた後、彼女は静かに話し始めました。「実は私も、将来のことを考えると不安になることがあるんです」と。てっきり若い世代は希望に満ち溢れているものだと思っていたので、少し驚きました。彼女の不安は、キャリアのこと、人間関係のこと、そしてこれから自分がどう生きていくべきか、といったことでした。それは、形は違えど、私が感じている不安とどこか共通している根源的な問いのように感じられました。
年齢は親子ほども離れているのに、同じように悩み、先の見えないことに不安を感じている人がいる。その事実に触れた時、「自分だけではなかったのだ」と、胸のつかえがスーッと取れるのを感じました。
互いの経験が照らす道
私たちは、抱えている不安について、互いの経験や考えを率直に交換しました。私の人生経験は、彼女にとって「これから起こりうること」の参考になったようです。例えば、仕事で壁にぶつかった経験や、子育てを通して学んだ「思い通りにならないことへの向き合い方」などを話すと、彼女は真剣な表情で聞いてくれました。
一方、彼女の言葉からは、今の時代を生きる若い世代のリアルな感覚を知ることができました。私たちが当たり前だと思っていた働き方や価値観が変わりつつあること、新しい技術や社会の仕組みのこと。彼女が語る「今」の世界は、私の視野を広げてくれると同時に、自分の凝り固まった考えに気づかせてくれるものでした。
彼女の「やってみないと分からないから、とりあえず一歩踏み出してみるんです」という言葉は、先の不安から足がすくみがちだった私の心に響きました。そして、私の「長い人生、大変なこともあったけれど、乗り越えられないことなんてなかったわよ」という言葉が、彼女に少しでも安心感を与えられたのなら、嬉しく思います。
年齢を超えた共感と『大丈夫』の理由
この日を境に、私たちはお互いのことをより深く理解し合えるようになったと感じています。年の差があるからこそ、フィルターなしに素直な気持ちを打ち明けられたのかもしれません。同じ世代の友人には言いにくいことも、年齢が離れているからこそ、かえって話しやすいという不思議な感覚があります。
不安は完全になくなるわけではありません。しかし、同じように悩んでいる人がいること、そして互いの経験や言葉が、不安を和らげ、「大丈夫」と思える理由になることを知りました。彼女と話す時間は、私が一人で抱え込んでいた不安を小さくし、前向きな気持ちを取り戻させてくれる大切な時間です。
年齢を気にしない友情は、新しい世界を見せてくれるだけでなく、自分自身の内面と向き合い、人生を歩む上での支えとなってくれるのだと実感しています。もしあなたが、新しい人間関係に踏み出すことをためらっているとしたら、年の差にとらわれず、目の前の人に心を開いて話してみることから始めてみてはいかがでしょうか。思いがけない共感や学びが、あなたを待っているかもしれません。