若い友人の夢を応援することが、私の日々に新しい「活力」をくれた話
子供たちがそれぞれ独立し、夫婦二人の生活にも慣れてきた頃、私の日々に少しだけ空虚感が漂うようになりました。もちろん、それは寂しさだけではなく、自分のための時間ができた喜びでもあったのですが、何かが足りない、という感覚があったのです。新しいことでも始めようか、若い人たちと交流できる場所に行ってみようか、と思い立つものの、なかなか一歩が踏み出せずにいました。
そんな私に、新しい「活力」をもたらしてくれたのが、ひょんなことから年の差の友人となったAさんでした。
出会い、そして年齢差を忘れる瞬間
Aさんとの出会いは、近所の小さな手芸教室でした。私は昔から編み物が好きで、新しい技法を学びたくて通い始めたのです。Aさんは、私よりもずっと若く、まだ20代。最初は少し緊張しましたが、席が隣になり、使う毛糸の色やデザインについて話しているうちに、自然と会話が弾みました。
彼女はとても明るく、自分の好きなことについて目を輝かせながら話す方でした。年齢差を全く感じさせない自然体な姿に、私はすぐに親近感を覚えました。教室の後にお茶をするようになり、手芸以外の話もするようになったのです。
若い友人の夢に触れて
ある日のこと、Aさんが将来の夢について話してくれました。それは、自分の手芸の技術を活かして、いつか小さなお店を開きたい、というものでした。具体的にどのようなお店にしたいのか、そのためにはどんな技術が必要か、熱心に語る彼女の姿は、とても輝いて見えました。
その話を聞きながら、私はふと、若い頃の自分のことを思い出しました。あの頃、私も色々な夢を描き、それに向かってがむしゃらに頑張っていた時期があったのです。子育てや日々の生活に追われるうちに、いつの間にかそんな気持ちは遠い昔のことになっていたように感じていました。
Aさんの夢を聞いて、最初は「大変だろうけれど、頑張ってね」という漠然とした気持ちでした。しかし、彼女が真剣に準備を進めている様子を見ているうちに、何か自分にもできることはないか、彼女の夢を応援したい、という気持ちが芽生えてきたのです。
経験が応援する力になる
私は、Aさんの話を聞く時間を大切にしました。お店を始めるにあたっての悩みや、技術習得の難しさ、資金のことなど、彼女が抱える様々な課題について、私のこれまでの人生経験からくる視点で話を聞き、時には小さなアドバイスをすることもありました。
例えば、お客様とのコミュニケーションについて、子育てや地域活動で培った経験から「こういう時は、まず相手の話をよく聞くことが大切よ」と伝えたり、確定申告や事務手続きについて、かつて少しだけ経理の仕事をしていた知識を話したりしました。それは、専門的なアドバイスというよりは、人生の先輩として、少しだけ先を歩いた者として話せる、ささやかなヒントのようなものだったと思います。
Aさんは、私の話を真剣に聞いてくれました。そして、「〇〇さん（私のこと）に話を聞いてもらうと、頭の中が整理されて、頑張ろうって思えるんです」と言ってくれたのです。その言葉を聞いた時、私は胸が温かくなるのを感じました。
応援する喜びがくれた新しい「活力」
Aさんの夢を応援する日々は、私の日常に新しい「活力」をもたらしてくれました。Aさんが新しい技術を習得できたと嬉しそうに報告してくれた時、小さな課題を乗り越えたとホッとした顔を見せてくれた時、私も自分のことのように喜びを感じました。
誰かの夢を応援するということは、単に相手を励ますことだけではないのだと気づきました。相手の情熱に触れることで、自分自身も刺激を受けるのです。Aさんのひたむきな努力を見ていると、「私も何か新しいことに挑戦してみようかな」という気持ちになりました。手芸教室で新しい技法を学ぶことにも、以前より意欲的に取り組めるようになった気がします。
また、Aさんと話すことで、若い世代が何を考え、どのようなことに価値を見出しているのかを知ることができ、私の視野は大きく広がりました。年齢による違いはもちろんありますが、夢を追いかける気持ちや、困難に立ち向かう強さは、どの世代にも共通するものなのだと感じ入りました。
年齢を気にしない友情の可能性
年の差のある友人を持つことは、最初は少し勇気がいるかもしれません。何を話せば良いのだろうか、価値観が違いすぎるのではないか、といった不安があるかもしれません。しかし、私とAさんのように、お互いの内面や目標に目を向け、応援し合う関係性は、年齢差を超えて素晴らしい絆を育むことができるのだと、身をもって感じています。
誰かの夢を応援することは、決して特別なことではありません。話を聞くこと、共感すること、小さなヒントを伝えること。そうした日常の積み重ねが、相手にとって大きな支えとなり、そして応援する側である自分自身にも、新しい喜びや活力を与えてくれるのです。
もし、あなたが新しい人間関係を求めているけれど、一歩踏み出せないでいるとしたら、ぜひ年の差の友情にも目を向けてみてください。そして、もし若い世代の友人ができたら、その人の話をよく聞き、その人の「夢」や「目標」にそっと寄り添ってみてはいかがでしょうか。きっと、あなたが誰かを応援するその行動が、あなた自身の日常にも、新しい彩りをもたらしてくれるはずです。年齢を気にせず、心と心で通じ合える友情が、あなたの人生をより豊かなものにしてくれることを願っています。