夢に向かう若い友人から私もらった、新しいことへの「わくわく」
ポッカリ空いた時間に芽生えた、新しいことへの憧れ
子供たちが独立し、夫が定年を迎えてしばらく経った頃、私は時間にゆとりができ、これからどう過ごそうかと漠然と考えておりました。若い頃は仕事や子育てに追われ、自分のことは二の次でしたが、ようやく訪れたこの時間は、正直なところ少し寂しさも伴いました。趣味を見つけようにも、何から始めれば良いか分からず、新しいコミュニティに飛び込む勇気もなかなか出ませんでした。特に若い世代との関わりは、孫以外にはほとんどなく、「今どきの若い人は何を考えているのかしら」と、少し距離を感じていたように思います。
そんな私に、新しい風を吹き込んでくれたのが、ひょんなことから知り合った若い友人でした。
共通の場所で出会った、年の差のある友人
彼女とは、地域の小さなボランティア活動で知り合いました。私はお手伝いをする側、彼女はそこで何か新しい企画を実現しようと奮闘している側でした。年齢は親子ほども離れていましたが、活動への真剣な眼差しや、物怖じしない真っ直ぐな話し方に、すぐに惹きつけられました。休憩時間に他愛もないおしゃべりをするうちに、年齢差を意識することなく話せる相手だと気づき、連絡先を交換するまでになりました。
彼女の「夢」に触れて感じた情熱
何度か一緒にお茶をする中で、彼女が温めている「夢」について聞かせてもらいました。それは、私にとって全く未知の世界である、クリエイティブな分野での挑戦でした。具体的な目標や、それに向けて日々努力していること、そして時折感じる不安や葛藤を、彼女は飾り気なく話してくれました。
私は、ただただ感心して耳を傾けておりました。「すごいわね」「応援しているわ」という言葉しか出てきませんでしたが、彼女のキラキラした目を見ていると、私自身の若い頃に抱いていた、しかし結局叶えられなかった夢や、新しいことへの挑戦に対する憧れが、心の奥から静かに湧き上がってくるのを感じました。
年齢を重ねた私ができること、そして彼女からもらったもの
彼女の夢を応援したいという気持ちは自然と湧き上がりました。私にできることは少ないかもしれませんが、経験者としてのアドバイスや、時にはただ話を聞いて「大丈夫よ」と伝えることならできます。かつて子育てや仕事で経験した困難を乗り越えた時の話や、人生には予期せぬ素晴らしい出会いがあることを伝えたりしました。彼女が不安そうな顔をしている時には、「焦らなくて大丈夫。続けていれば、必ず道は開けるから」と、私が若い頃に先輩から言われて励みになった言葉を贈りました。
私の言葉がどれだけ彼女の力になったかは分かりません。しかし、彼女が夢に向かってひたむきに努力する姿を見るたびに、私はかつて自分が抱いていた情熱や、新しいことに挑戦する時の「わくわく」した気持ちを思い出させられました。
私はもう新しい大きな挑戦をするような年齢ではないかもしれない。そう思っていました。しかし、彼女を見ていると、「何か新しいこと」は、何も大げさなことでなくて良いのだと気づかされました。少し気になっていたオンライン講座に申し込んでみる、今まで読まなかったジャンルの本を手に取ってみる、近所にできた新しいお店に一人で入ってみる。そんな小さな一歩でも、人生に新しい風を吹かせ、心を「わくわく」させてくれるのだと、彼女が教えてくれたように思います。
年齢を気にしない応援と「わくわく」の連鎖
年の差のある友人との関係は、一方的にどちらかが助ける、あるいは助けられるというものではないのだと感じています。私は彼女の夢を応援することで、自分自身の若い頃を思い出し、人生の後半をどう生きるかという大切な問いに改めて向き合うきっかけをもらいました。そして、彼女のひたむきな姿から、「わくわく」する気持ちに年齢は関係ないということを教えてもらいました。
もしあなたが今、新しい人間関係に一歩踏み出すことをためらっていたり、何か新しいことを始める勇気が出ずにいたりするのなら、年の差を気にせず、目の前の人に心を開いて話してみてはいかがでしょうか。思わぬところで、あなたの心を「わくわく」させてくれる、素敵な出会いや気づきがあるかもしれません。お互いを応援し合える関係は、人生をより豊かに彩ってくれるはずです。